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世界的な消費低迷は、不況知らずといわれた高級ファッションの世界も直撃し始めている。内外の有力ブランドの中でも経営破綻(はたん)に陥るところも出てきたが、フランスでは守るべき文化資産として国を挙げて再生に向けた支援をする動きがある。一方、作品への世界的評価ではそれ以上ともされる日本のブランドは、国内では無援に近い状態に置かれている。 「クリスチャン・ラクロワ」は世界的に知名度の高いフランスの有力ブランドだが、今年5月末、業績不振により破産保護を申請、ブランド閉鎖の危機に陥った。だがデザイナーの才を惜しむ多くの人々の無償協力で7月のオートクチュールコレクションでなんとか小規模なショーを開いた。最後になるかも知れないショーの終わりにラクロワは涙をかみしめていた。 フレデリック・ミッテラン仏文化相は「ラクロワのブランドを失うのは、フランスの文化的な損失。惨事だ」と述べ、解決策に協力する意向を示した。そんな経緯の中で、いくつかの企業がスポンサーとして名乗りを上げたと現地紙は伝えた。 ラクロワは80年代にデビュー。鮮やかな色彩と独特な装飾性でモードの歴史を塗り替える鬼才とうたわれた。パリ伝統の繊細なクチュール技法も駆使することで、イヴ・サンローラン亡き後の「フランスの宝」ともいわれていた。 日本でも、人気デザイナー山本耀司が設立した「ヨウジヤマモト」が身売りを検討していると8月、経済誌のニュースサイトや一部週刊誌が報じた。ヨウジヤマモト側は「細かい状況は現段階では未定。まだ答えられない」としており、10月のパリ・コレクションには今まで通り参加する予定という。 山本といえば、黒を基調とした革新的かつ優雅なスタイルで知られ、1981年にパリ・コレにデビュー。世界の前衛派デザイナーの旗手として現地誌の人気投票でも常に上位を占めてきた。昨年末には新たな旗艦店もパリの一等地に設立。エルメスなどの有名ブランドとの協業も話題になったばかりだった。 ラクロワやヨウジヤマモトに限らず、大幅な経費や人員削減を進める有力ブランドのうわさもよく聞く。ラクロワの当初の共同経営者だったパリの著名コンサルタントは「この不況のトンネルを生き残れるのは、創造性と資金管理の偉大な能力を兼ね備えたブランドだけ」と言い切る。 ファッションは創造と同時にビジネスである以上、経営に失敗すればそれまで、ということも否定はできない。だが、ラクロワは「街を歩くたびに市民から励まされ、それが支えになっている」と語った。 ラクロワと同じように、山本耀司の仕事も含め、日本の服飾文化も伝統に根ざしたかけがえのない宝物だ。万が一にもそれらの文化が損なわれるかもしれない危機を避けるために、日本でも何らかの公的、人的な支援策を講じてもよいのではないだろうか。(編集委員・高橋牧子)
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